建物計画
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敷地境界線と
配置計画
敷地をいっぱい使いたいために、屋根・庇を敷地境界ギリギリまでもっていく例が見られますが、これは敷地形状の上でやむ得ない場合と境界と外壁の間の距離が必要な入ことが確認されている個所に限るとお考えください。 建物外壁と敷地境界の間隔があまりにも狭いと「物が運べない」とか「メンテナンスが出来ない」とかの問題が発生します。

プライバシー
また、隣接する敷地に既に住宅など建物が建っている場合は、お互いのプライバシーを侵害することのないよう配慮することも大切になります。後々お互いに嫌な思いをしないためにも是非ご検討ください。

庭は個人の趣味趣向によって随分と変わってきます。 日本庭園風、西洋庭園風とこだわればきりがないのも庭です。 しかし、なんとか努力して植栽程度は施したいものですね。アルミフェンス・ブロック塀がむき出しになるよりもそこに緑があるだけで窓からの風景が変わり心を和ませてくれます。 百花繚乱とまではいかなくても四季が感じられることはバタバタとした日常を一瞬和らげてくれますよ。秋の夜長に虫の声を聞くのもいいものです。

植栽
植栽で植える木について気をつけなくてはならないことがあります。 高く伸びる木、根を張る木は避けた方がいいでしょう。 夏暑いからということだけで安易に南の方向に高木を植えますと、風通しが悪く湿度の高い生活環境を創ることになりますし、根の張る木を植えますと住宅の下まで根が廻り基礎を傷めることにもつながります。 広葉樹・針葉樹、常緑樹・落葉樹、高木・低木と様々な種類がありますが適材適所の植物を選んで下さい。

駐車スペース
少し余裕を持ってください。今所有している車がピッタリ入るからOK? 乗り降りはできますか?車を買い替えても大丈夫ですか?排気ガスが溜まりませんか? 少し余裕を持たせることで普段の生活にストレスを感じさせなくできます。 それから、できれば下はコンクリートにしてやりたいですね。 オイル漏れも確認できますし、地盤からの湿気が廻らず車も長持ちしますよ。 家族同様、車も大切にしたいですね。

平面計画
一番厄介で、一番楽しい平面計画。 台所はカウンターキッチン。僕の部屋はこう。書斎も欲しい。私の部屋の窓はここ。お風呂はゆったり。リビングは広く。廊下はなし。あれ…?玄関はどこ?玄関が、な…い。

同じ家族なのに、趣味も仕事も好みも違います。と言うことは、起床時間・就寝時間、テレビを見る時間、友達が来る・来ない、とそれぞれの個性がハッキリと見えてくるのも平面計画の時です。 また、忘れてはならないのがライフスタイルの変化です。 今は元気なお父さん・お母さんもやがては体力的に弱ってきますし、今は小さな子どもたちもやがて大きく成長します。家族の成長に対応できる家づくりを考えた平面計画が大事になります。 みんなが快適に暮すには動線(人の動く線)を考えないと大変です。 僕が部屋に行こうとするといつもお母さんとぶつかる。 お客さんが来ているからお風呂に入れない。 買物をして帰るとキッチンに入れない。なんて問題がおこってしまうんです。 笑い話じゃないですよ。これ、ほんとによくある話です。 新築の家でタンスが部屋に入れられないなんてこともあるんですから。

部屋はただ広ければいいってもんでもないんですよね。毎日生活する自分の家だからこそ慎重にそして大胆に計画したいですね。 専門的には平面計画と同時に立面計画・展開計画がついてきますがここではこれらを含めて間取りの計画として考えます。

モジュール
間(けん・通常182cm)モジュール、m(メートル)モジュール等、業者・工法・地域によってモジュールは違います。どのモジュールで計画するかによって同じ6畳の部屋でもサイズが違ってきますし、収まるはずのタンスや布団が納まらなくなります。何畳の部屋という考え方ではなくキチンとした寸法で計画を進めましょう。

収納
収納は物を隠すことではなく、必要なものを効率よく使うための補助空間と考えて下さい。 何もかも収納スペースに入れて見えなくしてしまうと無機質な部屋になってしまいます。子どもたちの鞄や服は曲がった木の枝にさりげなくかけるのもお洒落かもしれません。収納は床面積の10%を目安にするということが一般的に言われていますが、実際家を建てて引越しをしてみると、足りないんです。10%では入らないんですよ。荷物。 全部キチンと整理すれば入りますが整理して入れるとパズルの様になって自由な出し入れが出来ないのが現実です。片づけ上手は、捨て上手。でも想い出がいっぱい。知恵の絞りどころです。

床下収納・
地下収納
キッチン・ダイニングに良く利用される床下キッチン。まだ希ではありますが大規模なものとしては地下室での収納もあります。 どちらも食品の保存が主な利用目的ですが、各家庭での利用を充分検討してみてください。

小屋裏収納
小屋裏収納は最近良く見られます。ただこれには建築基準法上、床面積の算定基準などを考慮して天井高に制限がありウォークイン・クローゼットのような使いやすさは望めません。しかし、あるとないでは大違い。かなりの収納が期待できますよ。 屋根の形状によって違いはあるものの、夏でも最上階の部屋が暑くなり難いなど副効果もあり是非ご検討をお勧めします。

階段下収納
階段下は階段の項でも述べますが、実に使いやすい場所です。ほとんどの場合、家の中央付近に位置しますから上手くデザインすれば家庭備品集中管理倉庫になります。以前は階段下をデッドスペースと呼んでいましたがね。日本住宅でも古来から引出し式の収納にしたり先人の知恵を素直に習いたいです。

屋外収納
屋外での収納も忘れられません。屋外の物置で充分耐えられるものも沢山ありますから。 釣り道具、冬用タイヤ、灯油缶、バーベキューセット、など庭に小さな物置があれば解決することもよくある話です。

クローゼット
洋風住宅によく見られるウォークインタイプのクローゼット。カッコイイですね。でもこれってかなりの面積を覚悟しないと機能的には使えないことが多々あります。図面だけで判断せず実際の寸法を実体験の中で判断してください。

コンセント
コンセントの位置は気を付けましょう。 いざ、家具を置いたらコンセントが陰になって使えないようなことがないように。また、忘れがちなのが和室のコンセントの高さです。和室の場合冬にはコタツが登場することが多く、コンセントの高さが洋室と同じでとコードが垂れ下がり邪魔というより危険な場合が多いです。 もうひとつ忘れてはならないコンセントがあります。エアコン用コンセント。取り付けようとするエアコンの機種・寸法を確認して出来るだけ取り付け後見え難い場所にコンセントを持ってきましょう。 そして、忘れそうなコンセントにも注意してください。 神棚・仏壇のあるご家庭も少なくないと思います。 神棚や仏壇にはできればロウソクで灯かりを灯したいものですが、火事は心配ですね。できれば御妙灯用のコンセントを忘れず準備をしておきましょう。

スイッチ
玄関と階段のスイッチは取り付け場所に要注意です。 「建築屋さんも電気屋さんもプロだから大丈夫」とおっしゃらずに良くお話してください。プロと言えども人の子です。習慣も思いも違いますので。 特に玄関廻りについてはスイッチと同時にインターホンの取り付け位置にも気を付けてください。 門扉を設置する場合は玄関と門扉の両方にそれぞれインターホン・照明スイッチがあれば便利ですよ。

電話

電話については、あまり神経質にならなくても大丈夫でしょう。電話そのものはコードレス子機が付いているものが主流になっていますから、むしろ、FAXの置き場所をしっかりときめておいてください。

 

マルチメディア
CS・BS・CATVそしてISDN・ADSL・衛星インターネットと通信放送関係は日進月歩。 マルチメディア時代を迎えた今少し余分のケーブル配線が確保できるよう計画されることをお勧めします。空配管だけでもしておくと安心です。

電気容量
電気容量は、余裕を持ってください。数え上げれば切りがないほどの電気製品で囲まれています。 各社電気メーカーさんも省エネで省電力設計を推進していますが、今後各家庭の消費電力が下がることは考え難いですから。 省エネを考え深夜電力契約、動力系に200Vを使用、オール電化住宅など色々と比較検討されることも大事です。

建具
ここで言う建具とは部屋の扉、収納の扉を主に考えます。 扉はそれぞれの部屋の色を醸し出します。 玄関ホールや廊下から見る扉があまりにもバラバラでアンバランスなのも問題ですが、何とか個性を打ち出していきたいですね。 既製品の扉でも同じデザイン基調でも少しづつ個性を持たせたものがあります。建具屋さんに作ってもらうんであれば尚さら個性が出せます。小さな小窓、明かり取りを付けるだけで随分とお洒落になります。

高さ
天井、ドア、窓、カウンター、手摺、流し台、と人が暮していくには物の高さは大変重要になります。 特に住宅という財産となりますと家族でよく話し合っていかないといけません。体形・体力の違うひとが一緒に暮すのですから。ひとつ間違えれば、「家の敷居」まで高くなりますよ。 高さの設定については、色々なメーカーから資料が豊富に出ていますのでご参考にされるのはもっともですが、必ず実際にその高さを自分の体験で確認してください。身長は同じでも癖が違ったり、癖を直して生活することで体調が良くなったりもしますからね。

素材
素材については打合せの中で「仕上表」「仕様書」という設計図書に記載されていくことになります。 大きく分けると「床」「壁・腰壁」「天井」に分類されます。

「床」はクッションフロアー・フローリング・畳・タイルのようなものが代表的なものです。 「壁・腰壁」は現在ではほとんどがPB(プラスターボード(石膏ボード))下地クロス貼りの仕上げになっていますが、和風の場合は未だ土壁もその存在感は大きなものです。

「天井」も壁同様そのほとんどはPB+クロスが主流です。和室の場合は「ラミ天」とか「木質」も使いますが、純和風・現代和風などによって使い分けることが必要になります。 どの素材も、カラー・デザイン・厚さ等建材メーカーにより多種多様に渡っています。 しかし、あまり見た目に凝りすぎると、断熱性・遮音性・防音性・メンテナンスが置き去りにされ後悔しないとも限りません。例えばダイニングやトイレの比較的掃除の頻度が高い場所で、凸凹の多いデザインを使用しますとクリーナーの泡切れが悪く掃除に手間がかかってしまいます。

素材決定にはデザイン・カラー・部屋のイメージ・機能・メンテナンスをバランスよく検討して決定されることをお勧めします。これは新築に限らず増改築でも同様のことが当てはまります。
窓はその部屋の風景を決めてしまいます。 窓は単なる開口ではなく、光を導き、風を香らせる人が生活するには欠かせないものです。 部屋の中の風景、部屋から眺める風景。くつろげる部屋、活動的な部屋、静寂な部屋色々な風景がそこに生まれます。

風呂
疲れを癒す最大の空間。 ゴージャスなお風呂、いいですね。しかし、あまり大きなお風呂は湯冷めが早く常時ボイラーのスイッチが入った状態になり光熱費がかさみます。毎日使うお風呂だからこそ無駄を省き、かつゆったりとしたお風呂を計画しましょう。 また、お風呂はくつろぎの空間でありながら高齢者や年少者にとっては危険がいっぱいの空間でもあります。新築工事の時点で手すりの計画も踏まえておくと安心です。また、ユニットバスでは難しいですがオーダーの場合はシャワーの位置、一旦腰をかけるための段なども工夫するとお風呂の中までバリアフリーを実現できます。

ユニットバス
ユニットバスの寸法は「1416」とか「1616」という表示がされています。 これはユニットの寸法で「1416」は140cm×160cm、「1616」は160cm×160cmを表します。通常は「1416」が利用されていることが多いですが、余裕の欲しい方は「1616」を選ばれると良いでしょう。

台所
キッチンの計画は女性にとって最大の関門です。毎日のことですから、「まぁ、いいか」では大変です。 右利きですか、左利きですか? 身長は何cmですか? 電気調理器具はどれくらい使いますか? オーブン料理は好きですか? パンやお菓子は作りますか? 料理にこだわりますか? 中華料理をよく作りますか? 友人はたくさん来られますか? 朝の出勤、登校時間は同じ頃ですか? 共稼ぎですか? 2世帯同居ですか? 家族に料理が趣味の人はいますか? 食器は飾りたいですか? 冷蔵庫は何リットル必要ですか? 買物は週何回くらいですか? キッチンは独立していた方がいいですか? etc

これらのことを一つずつ検討していくと、L型・I型・カウンター、コンセントの数と位置、配置が自然に決まってきます。 そして、明るいキッチン。 暗くてジメジメしたキッチンはとても嫌なものです。 照明器具は「キッチンだからこんなもの」ではなく、手元まで光の届く明るい、そして風通しの良い環境を創りたいですね。でも安易に窓を大きく取ると、レードルが置けない、調味料が置けないなど収納に問題が発生します。また、キッチンの位置によっては日光で暑いだけではなく、臭いが出る、等が問題になることがあります。
玄関
玄関は家の顔とよく言います。つまりいつも整頓しておきたい場所でもあります。 魅力的な玄関は単に豪華なことではなく、清潔で整頓された玄関のことをいいます。その魅力を発揮するには機能をご検討ください。靴・傘・ゴルフバッグ・ヘルメットなど玄関での収納は充分か?ブーツも入るか?姿見の鏡は要・不要?車椅子は?よ〜く考えないと玄関には落とし穴がいっぱいですよ。 上がり框の高さも洋風・和風によって違いがありますが、足腰の弱い人がいる場合はあっさりと大きな段差があった方が、履き物の履いたり脱いだりに楽だったりとか…。スノコを置く工夫をする場合はスノコから玄関戸までの距離が必要になったりとか…。車椅子に配慮するとか…。 業者任せではなく、工夫が生きる空間ですから家族のアイデア出し合ってください。さぁ、貴方の家族の靴は全部で何足ありますか?

階段
階段は比較的クレームの多い場所です。 本来ならデザイン性が高く表現力のある見せ場の空間なんですが、思ってたより幅が狭い、勾配が急、踏み面が狭い、等々クレームの出やすい空間でもあります。 また部屋の空間を大きくとるためについ小さくしがちなのがこの階段室です。でも、考えてみると大きな階段の下は大きな空間ができるんですよね。プランひとつで活かし方色々。ただの梯子代りにしないで活かし方考えて下さい。 そして階段で見落としがちなのが階段幅。図面上はOK。でも手摺を付けたら…。 階段の有効幅のご確認もお忘れなく。設計担当者と念入りな打合せをして下さい。

照明
夜になるとその部屋々のムードを醸し出すのが照明。 シャンデリア、直付け、ペンダント、ブランケット、スポット、スタンド、アーチストデザイン、調光装置。 豊富なバリエーションの中から選び出すのは大変なコーディネイト作業ですが手抜きは出来ません。壁面とのカラーバランス。カーテンとのカラーバランス。部屋の色を創り出す光の発光源ですから。